のりコラム

のりの種付けのお話

のりの種付けのお話

のりは冬の海で育ちますが、その生育サイクルは長らくわからないままでした。
そもそも、のりは、大宝律令などに租税のひとつとして書き記されていたように、
1300年以上の昔から高級食材でしたが、天然のものを摘み取っていました。

時代が下って、江戸時代のころ、浅草当たりの魚の畜養いけすの竹や木の枝についたのりをみて養殖がはじまりました。
ただ、なぜのりが冬場に育つのかわからないため、とりあえずたくさんの竹や木の枝を適当に海に漬けて、採れたらバンザイのような、ある種ばくちのような生産でした。
なので、運草、ばくち草と呼ばれていたそうです。
昭和20年代にイギリスの植物学者のドリュー女史がのりの糸状体を再発見し、
これをきっかけにのりの生活史が解明され、その後の人工採苗技術が実用化されました。
この人工採苗技術をもとに、4月ごろのフリー糸状体の培養、5-8月のカキ殻糸状体の培養、9月半ばから10月上旬の陸上採苗が行われています。
陸上採苗では、水槽にカキ殻糸状体を浸し、網を巻いた水車を回して、網に糸状体を定着させます。

この作業を、のりの種付けと言います。
その後、陸上採苗したのり網は、冷凍庫で保管し、海水温が下がる11-12月ごろ、
海面に網を張り出します。
のりももの地元、三重県桑名市あたりでは、伊曽島漁協で、
陸上採苗の作業を9月末あたりに行っています。
この冬もいいのりがたくさん採れるといいですね。